|
|
南陽院 〔南禅寺〕 (京都市左京区) Nanyo-in Temple |
|
南陽院 | 南陽院 |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
南禅寺境内の南西に塔頭・南陽院(なんよう-いん)がある。 臨済宗南禅寺派。 ◆歴史年表 近代、1908年、西賀茂の末寺・正伝寺、塔頭・南陽院の名義を移した。開山は豊田毒湛(とよだ-どくたん)による。 1909年、山内に建立され、南禅寺の塔頭になる。毒湛禅師の塔所とされた。師に帰依した豪商の施入による。 現代、2022年、9月、本堂に近代の日本画家・木島櫻谷(このしま-おうこく)が描いた「山水障壁画」が残されていることが確認された。 ◆豊田毒湛 江戸時代後期-近代の臨済宗の僧・豊田毒湛(とよだ-どくたん、1840-1917)。名は匝三(そうさん)、別号は高源室。美濃(岐阜県)の生まれ。1847年、美濃の東光寺・晙桑(しゅんそう)の法弟になる。1848年、得度した。1857年、近江・永源寺の海州楚棟に参禅した。のち筑後・梅林寺の羅山元磨の下で得悟した。1862年、東光寺継嗣になる。1872年、美濃・妙心寺派取締になった。1874年、東光寺を譲り、1878年、潭海玄昌(たんかい-げんしょう)の法嗣になる。岐阜・大仙院に住職となる。1881年、京都・円福寺住職、1889年、岐阜・永保寺住職を経て、1896年、南禅寺派管長、南禅寺327世になり、法堂を再建した。1908年、南禅寺・南陽院を開山する。1909年、妙心寺派管長になった。78歳。 ◆7代・小川治兵衛 江戸時代後期-近代の造園家・小川治兵衛(おがわ-じへい、1860-1933)。源之助。山城国(京都府)乙訓郡の庄屋・農家に生まれた。父・山本弥兵衛。1877年、岡崎の庭匠・小川家(「植治」「田芝屋」)の養子になる。6代に付く。遠州流を学ぶ。法然院・大定に薫陶を受けた。7代目治兵衛を継ぎ「植治(うえじ)」と称した。天才的と謳われ山県有朋、西園寺公望らの後援を得た。今日の「植治流」造園技術を確立する。 碧雲荘、無鄰庵、平安神宮神苑、清風荘、円山公園、京都国立博物館庭園、対龍山荘庭園など100あまりの庭園を手掛け、「植治の庭」と呼ばれた。京都御所、修学院離宮、桂離宮などの復元修景にも関わる。73歳。 墓は佛光寺本廟(東山区)にある。 ◆木島櫻谷 近代の日本画家・木島櫻谷(このしま-おうこく、1877-1938)。本名は文治郎、別号は竜池草堂主人など。京都の生まれ。京都市立商業学校を中退し、19歳で日本画家・今尾景年(けいねん)の門に入る。山本谿愚(けいぐ)に漢詩を学ぶ。京都美術協会展、新古美術品展などに出品した。1899年、後素協会主催の全国絵画共進会に出品した「瓜生(うりゅう)兄弟」が宮内省買上げになった。1907年、第1回文展で「しぐれ」が2等賞になり、以後第6回まで連続受賞した。1913年、審査員に推される。1912年、京都市立美術工芸学校教諭、1915年、京都市立絵画専門学校(現京都市立芸大)教授になる。晩年、詩書に親しむ。62歳。 近代京都画壇を代表した。円山・四条派の画風に新味を加え、おだやかな画風を示した。代表作品「若菜の山」「寒月」など。 ◆障壁画 2022年9月に、南陽院本堂に近代の日本画家・木島櫻谷(このしま-おうこく、1877-1938)が描いた「山水障壁画」5室50面が残されていることが確認された。近代、1910年に櫻谷34歳の最盛期の作であり、山水画の代表作になる作品群という。 障壁画は、泉屋博古館(左京区)による櫻谷の特別展の開催準備段階で判明した。作品の存在は、これまで専門家の間でも知られていなかった。大規模な障壁画を単独で手がけた現存例も、近代京都でもあまりないという。 障壁画は峡谷・海浜・湖沼などの風景が部屋ごとに展開している。櫻谷が20代-30代前半に訪ねた飛騨・甲府・明石・奈良などの日本各地の実際の景色を取り入れている。水墨画の古典技法を用いながら、西洋絵画の立体表現・遠近法・陰影表現などの手法も加えた。近代的な感覚の障壁画であり、洋画家・浅井忠(1856-1907)との関係も影響しているとみられている。 2022年11月に、同院で特別公開が行われる。 ◆庭園 本堂南庭は、平庭枯山水式になる。小川治平衛の作庭による。 長方形の庭面は、一面の苔で覆われている。奥に低い生垣があり、その先の多くの樹木、左手、奥の山も借景に取り入れている。庭には右端に2石、左端に1石の臥石のみで構成されている。両石の間合いが図られており、植栽は松、ツツジなどわずかに抑えられている。 本堂の西に池泉式の庭園がある。 *普段は非公開 *年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。 *参考文献・資料 『旧版 古寺巡礼京都 12 南禅寺』、『京都の禅寺散歩』、『京都秘蔵の庭』 、ウェブサイト「コトバンク」、ウェブサイト「美術館ナビ」 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |
|
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() ![]() |
![]() |
|